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雲早山
【くもさやま】


「くもそうやま」ともいう。那賀郡木沢村・名西(みようざい)郡神山町・勝浦郡上勝町の境界付近に位置する山。山頂は境界から600mほど南西に寄り,木沢村内に入る。標高1,495.9m。山頂には雨乞の神である雲早神社が祀られている。この神社は木沢村・神山町ともに信仰され,麓に末社が祀られている。木沢村の雲早神社は1尺5寸の小祠で,天水分神・地水分神・天村雲神を祀る。中部山渓県立自然公園のうち。北斜面は国有林で,ブナ原生林127haが風景林に指定されている。南の木沢村側もブナ帯を形成するが,藩政期から名負林(私有地)が多い。明治20年代から植林が始められた。ブナのほかにはウラジロガシ・イタヤカエデ・ミズナラ・ヒメシャラ・ヒノキなどが自生する。頂上近くにタマカラマツが珍しい。草ではヒメテンナンショウ・フクジュソウ・アサマリンドウ・タカネオトギリ・ヤマブキソウなどが見られる。南の沢谷では国天然記念物であるタヌキノショクダイが自生する。高城山・高丸山とともに勝浦三山と称される。神山町側には神通滝・岳人の森キャンプ場があり,木沢村側には釜ケ谷渓谷と数多くの滝がある。昭和39年に土須峠西に雲早隧道が完成し,昭和50年に麻植(おえ)郡山川町から,雲早隧道を経て海部郡海南町へ通ずる道が国道193号に指定され,また昭和56年北斜面を通過するいわゆる剣山スーパー林道が建設されるにつれて,雲早山周辺は山と谷を結ぶ観光地となった。雲早山への登山道は雲早隧道を南に抜けて,すぐ東に道をとって土須峠を経てコンクリート橋の横から登高する。橋から約1時間で頂上に達する。剣山から徳島市の眉山まで展望がきく。南方の西三子山が最も美しく見える。山名の由来は明確ではないが,雲早く雨多いことから命名されたと考えられる。南方の坂州では年間降雨量3,192mm(昭和31年から10年間平均),南東の福原旭では2,900mmを記録している。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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