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桜間池
【さくらまのいけ】


名西(みようざい)郡石井町桜間にあった池。現在,池跡は桜間神社の境内にたつ県史跡桜間の池跡の石碑にその面影をとどめるのみである。池は往時,全国的に知られた景勝地で,「夫木和歌抄」にも「鏡ともみるべきものを春くればちりのみかかるさくらまの池」とある。文政年間,ときの藩主斉昌は将軍からこの池のことを問われたのを機に,巨費を投じてその復興につとめ,景勝地として保護を加え,池畔の小高い築山に石碑をたてた。石碑はその形から蛙石と呼ばれる。砂岩で高4.2m,周囲10.2mの巨石は,海部郡由岐浦の海中から7年がかりで多くの犠牲を払って運ばれたものである。碑文には,屋代弘賢の撰文になる桜間池の由来が記され,裏面には紫野碧海の撰文の碑石運搬の記事が刻されている。池は度々の洪水による変動で次第に縮小し,その形態をとどめなくなったが,水神がすみ,祈願すれば病気・縁談等に利益があるとする信仰は今も生きている。字池田の桜間神社は木花咲耶姫を祭神とし,「阿波志」にも「桜間祠 桜間池側に在り」と見える。また,一説に式内社麻能等比古神社に擬せられる。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7196124