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讃岐山脈
【さぬきさんみゃく】


阿讃山脈ともいう。徳島・香川両県の境界をなし,吉野川に並行して,その北方を東西約100kmにわたって連続する山脈。低山が多く,標高が1,000mを超える山は,わずかに竜王山・大川(だいせん)山だけである。雲辺寺山・大川山・竜王山・大滝山・三頭山・妙体山・城王山・大山・大麻山など,すべて山頂に神社仏閣および小祠があり,山岳信仰との結び着きも深く昔からよく登られている。また,曼陀(まんだ)峠・六地蔵越・猪ノ鼻(いのはな)峠・相栗(あいぐり)峠・清水越・境目(さかいめ)峠・鵜峠・大坂峠など数多くの峠があり,現在でも峠道として12本の車道が横断する。古くからの諺の「讃岐男に阿波女」は,峠を利用した経済的交流と通婚圏を示したものであるという説もある。阿波牛が田植期の遅れる讃岐へ賃貸しされる「かりこうし」(借耕牛)の風習も,この多くの峠道を通じて行われた。地質は和泉層群よりなり,中生代白亜紀に海底に堆積した砂岩・泥岩などが主で,砂岩は昔から石材として利用されてきた。植物では表層土に水分・養分が少なく,樹木の生育に条件が悪いため,一般に耐乾性の強い疎林を形成し,アカマツ・コナラを主体とする。大滝山の山頂付近は小規模なブナ林があり,阿讃山脈唯一の自然林である。他には大麻山・妙体山・大川山が比較的自然林が保たれているに過ぎない。南斜面は多くの扇状地を持ち,傾斜が緩やかなため畑作が発達し,葉煙草・ムギ・ハッサク・繭などを特産とするが,最近では高冷地野菜の栽培や肉牛の飼育が見られるようになった。山脈内には箸蔵・奥宮川内・大麻山の3県立自然公園があり,山脈域は鳴門市と11か町の区域にまたがる。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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