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塩塚峰
【しおづかみね】


三好郡山城町と愛媛県新宮村との境界線上にある山。三傍示山の北2.5kmの地点に位置する。標高1,043.4m。草原状の山で,東西2kmの広い尾根には塩塚牧場がある。「阿波志」には,「天狗岳,塩塚を経て伊予に入る」「山背谷(山城谷),南北七里,皆峻嶺。西に塩塚峰あり,伊予に接す。不生山(三傍示山)を負い,以って土佐に連なる。東南,吉野川上流。平氏の乱,来り奔る者各おの田宅を卜す」とある。山城谷を代表する山であり,伊予・土佐へ接している。山名は,土地では塩塚山と呼ばれることが多く,「山城谷村史」も塩塚山とする。他に古くはドウメキ山とも呼ばれたという。ドウメキは轟く意で,昔この山が鳴動していたために名付けられた。塩塚山は神社仏閣等の信仰の対象物もなく,特産物もない割に交通路が土佐・伊予・讃岐の3国に通じている。塩を中心とした交易路でないかと推定され,山名の由来でもある。昭和24年頃,5km離れた三傍示山が地殻内の岩石摩擦のために,しばらく鳴動した事実があり,同じ現象が塩塚峰にも昔あったものと考えられる。麓の字名にカリクラ・カリクラオクなどの名称が残っており,狩場の遺跡と推定される(山城谷村史)。「阿波志」にも,山城谷の産物としてタカ・ハイタカを挙げている。頂上のスキー場は昭和10年頃から宣伝され,第2次大戦前には年間約700人のスキーヤーを集めていたが,戦後は100人前後である。30haに及ぶ牧場では,本県側で牧草の改良が行われ,食肉用和牛が放牧されており,愛媛県側では馬の放牧が行われている。地質上は三波川帯に属す。頂上付近はササが優占し,オオバギボシ・ホクチアザミなど四国には珍しい種類が見られる。春のワラビ・ゼンマイ・ウド・タラなどの山菜も多い。登山道は黒川谷・尾又谷・伊予新宮などから車道が延びている。黒川谷からは途中にホタルの名所半田岩などがある。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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