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焼山寺山
【しょうさんじやま】


鮎喰(あくい)川支流の喜来谷川と左右内川に挟まれる山。名西(みようざい)郡神山町の北西部に位置する。標高938m。特徴のある杉の巨木の群立が目立つ。「阿波志」に,「摩盧山(まろさん),焼山寺山と称す。名西郡にあり,即ち焼山寺所在のところ。山甚だ高峻にして,その峰峭秀なり。群山を俯矚す。上に茂木多し。池あり,径二十歩,長さ三十歩ばかり」とある。また,「義経記」の中で,弁慶が阿波の国の「やけ山」「つるが峰」に登ったとあるのは焼山寺山と鶴林寺山のことである。山名の由来は,古く焼山(やけやま)と呼んでいた山に建立した寺を,焼山寺と呼び,それが山名になった。焼山寺は四国霊場八十八か所の第12番札所である。弘仁4年に役行者(役小角)が開山し,その後この山にすむ悪竜を弘法大師が秘法で封じ込めたという(下分上山村史)。また,寺の本尊の虚空蔵菩薩像は弘法大師の彫刻と言い伝えられる。焼山寺は山頂から東方約500mの地点にある。それより山道3km手前には杖杉庵があり,右衛門三郎の墓所とされる。右衛門三郎は弘法大師の鉢を割ったために8人の息子を失い,その後,発心して四国霊場の基礎を作ったといわれる人物である。この人の生まれ変わりが伊予の国司になった河野氏という(阿州奇事雑話)。寺までは車道が通じ,寺には参詣者の宿泊施設もある。焼山寺山門の杉並木と境内の杉は樹齢300年と推定され,スギ並木は県天然記念物である。また参道の途中にあるフジの巨樹も群生地として県天然記念物になっている。寺まで車道が通じている。山頂へはヒメコマツ・ツガなどの自然林の中を登って岩尾根に出る。頂上には役の行者を祀る小祠がある。寺から約40分の距離にある。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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