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高丸山?
【たかまるやま】


勝浦郡上勝町と那賀郡木沢村との境界上にあり,雲早山から南東方約3.5kmに位置する山。標高は1,438.6mである。「阿波志」には「高山,八重地にあり。郡中最も高し」とあり,文化期の「勝浦郡分間絵図」などにも単に「高山」と記されている。高丸山の名称は明治期に入ってからであろう。なだらかな円形の山で,山自体が信仰の対象になっている。勝浦川の上流旭川の岸辺に高丸山遥拝所がある。高丸山と額を懸けた鳥居だけがあり,鳥居の中央に高丸山の頂上が納まって見える。高丸山の南東斜面約29haは県の自然環境保全地域の第1号に昭和52年に指定された。標高1,100mから山頂までの間は,樹高20mの大樹を含むブナ原生林で,ハリギリ・アズサ・コハウチワカエデ・イヌシデ・ヒメシャラ・アオハダなどが自生する。草木ではスズタケが優占し,クマシデ・シコクトリアシショウマの群落があり,珍種ではオオバイケイソウなども見られる。野鳥は32科70種,哺乳類は15科28種が確認され,ニホンカモシカも目撃されている。地質上は秩父帯に属し砂岩および泥岩からなる。中部山渓県立自然公園に属する。自然環境保全地域指定以来,駐車場・遊歩道・管理舎(高丸山荘)・植物標識や野鳥用給餌・給水台などが建設され,自然保護,適正な保全と県民の福祉向上への寄与とが総合的に推進されている。山頂には昭和50年2月ヘリコプターで運び建立された開発記念碑があり,紀伊水道や阿波の中部山渓の山々が眺望できる。県内でも剣山・高越山などと並び登山者に人気のある山である。南方約2kmの八重地峠は別名高野峠とも呼ばれ,上勝町八重地と木沢村高野を結ぶ峠道であった。現在,その下方に八重地トンネルが貫通し,主要地方道徳島上那賀線の一部をなす。登山道は八重地トンネルの東方約1.5kmの地点から北へ約2kmで駐車場へ,駐車場から歩いて約20分で管理舎に着き,さらに約50分で頂上に達する。管理舎周辺のブナ原生林は平地になっており,東照神社・剣山神社などの小祠があり,6月25日の祭礼には神輿も出る。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7196483