100辞書・辞典一括検索

JLogos

11

玉厨子山
【たまずしやま】


海部郡日和佐(ひわさ)町のほぼ中央やや西寄りに位置する山。独立峰をなす山容は美しい宝珠形をなす。標高530m。「阿波志」には,「玉厨子山,山河内(村)にあり,医王山(薬王寺)を西に距たる三千六百歩。形円く,松樹楚々たり。石洞中に釈迦像を安ず。怪岩相連なる。また大悲閣あり。寛永十六年秋,火に罹かる。南崇公(光隆)釈鉄崖に命じ重造す,以って安居の処となす」とある。鉄崖は徳島市竹林院の僧である。南の中腹にある玉厨子庵(泰仙寺)は四国霊場八十八か所第23番札所薬王寺の奥の院でもある。薬王寺の縁起によれば,薬王寺の本尊薬師如来は弘仁6年に弘法大師42歳の折の自彫である。文治4年の火災に薬師如来像は西方の山に飛び去り,その後山は光り輝いた。宝珠のようであったので玉厨子山と名づけられた。のち,寺が再建され新薬師像が安置された時に,旧本尊が紫雲に乗って帰り,厨子に背中合せに入ったという。それも長宗我部の兵火で焼けたといわれる。古文書には玉津志山・玉珠子山などの表記もみえる。海上から特徴のある山頂が目印になるので,海運関係者・漁師の信仰も篤い。地質は四万十帯に属し,山頂南西部に露出した砂岩の断崖がある。植物ではシイ類・クロマツが多い。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7196537