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津峰山
【つのみねさん】


紀伊水道と桑野川との間に挟まれた山地の最高峰で,阿南市の東部に位置する山。標高280m。南の橘湾方面から見ると端正な山容をなし,見能林方面からは3つの峰をなし,市内のどこからも目標となる。阿波三峰の1つとして海上生活者の目印ともなっている。頂上には津峰神社がある。神亀元年創立の国家鎮護・長寿延命の神として,古くから支配者・民衆の信仰を受けてきた。祭神は賀志波比売命・大山祇命で,式内社といわれる。頂上から北へ少し下った所に家具の窟という椀貸伝説のある洞穴がある。秩父帯のチャートの間が浸食されて形成された洞窟である。頂上東には登山リフト・大型駐車場や山上プールのある国民宿舎津峰荘などがあるほか,吉野桜・山桜・ぼたん桜など2,000本が植えられ,春は桜の名所となり,東方の脇海水浴場,中林の磯づりなどと合わせて阿南市屈指の観光コースとなっている。藩政期には藩主の狩場であり,「阿淡年表秘録」には「津峰山御鹿狩」「津峰辺御鷹狩野」などの記事が散見する。山頂の東方約500mの地点に陣ケ丸(247.4m)があり,口碑に古城跡という。頂上付近にはスギ・マツの大木を含む原生林が残る。他にウバメガシ・シイ・ヒサカキ・カシなどの常緑広葉樹が多い。林床にはイタチシダ・シュンランなどが見られる。登山道は国鉄牟岐(むぎ)線阿波橘駅・石門公園・三谷などから,古い信仰登山道が通じているが,現在は見能林町から津峰スカイラインが通じている。眺望に優れ,「阿波名所図会」にも記載がある。南側眼下に阿波の松島と呼ばれる橘湾が広がる。一帯は室戸阿南海岸国定公園のうち。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7196592