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三嶺
【みうね】


剣山の西方約10kmの地点にあり,三好郡東祖谷山(ひがしいややま)村と高知県物部村との県境をなす山。標高1,893.4m。剣山・ジロウギュウに次ぐ県下第3位の高峰である。剣山国定公園のうちで,三嶺自然休養林でもある。山名は3つの畝(うね)の集まる山の意味から名づけられた。剣山からの縦走路である白髪分岐点から真北に当たるこの山の頂上を望むと,東西に対称な3つの高まりを持った端正な山容が見事である。高知県側では「さんれい」と音読みし,県内でも広く通用している。江戸期の文献には三嶺の名は見当たらない。「阿波志」の付図には,菅生山の名もあるが,これは1つの山頂を指したものでなく,菅生集落の裏山一帯を広く汎称したものである。大正4年の「美馬郡郷土誌」に,「三頭山,又三嶺と書せるものあり,南西面は土佐国香美郡上韮生村,其他は東祖谷山村に属す。標高一八九三.七米。阿波第二の高岳といふも可なり。山頂より山脈二分し,南微東は国境をなし,南西は国境をなして躄山に連る。北麓は祖谷川に洗はる。山の上部は草原をなし其他は喬木林をなす。又山頂部の東側に断崖あり。登路記すべきものなし」とある。頂上は一面ササが敷きつめられたように茂生しており,その間にコメツツジ・シコクフウロ・ホソバヤマハハコ・タカネオトギリ・イブキトラノオなどが咲く。頂部は古生層のチャートが南を限り,北側はなだらかな高原状を示し,頂上の東部に池があり,池の横に昭和36年の第5回全日本登山体育大会のために建設された県営山小屋(無人)がある。南面の高知県側は険しい。特に頂上の南西は青ザレと呼ばれるザレ場があり,過去に多くの遭難者を出している。県下の登山史上,最も犠牲者の多い山である。三嶺から西方の天狗塚への約4.5kmの稜線は県下有数の景観を残す深山である。登山道は東祖谷山村の名頃からが最短距離。村内菅生の青少年旅行村(三嶺荘)の近くからのコース,久保からのコースなどは約3~4時間かかる。剣山からの縦走コース(約8時間)のほかに高知県からのコースもある。頂上のヒュッテのほかに,西へ3kmの地点の南側に高知県営ヒュッテがあり,北方にはお亀岩と呼ばれるキャンプ地がある。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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