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桃ノ丸
【もものまる】


那賀郡木頭(きとう)村の北部にある山。ジロウギュウから派生し,東へ同郡の木沢村と木頭村の村界をなして延びる山稜上の折宇谷山の西方2kmの無名の1,536.1mピークから南方へ枝分れした山稜上に位置する。標高1,154.8m。久井谷を挟んで西の杉生山と対峙し,東の折宇谷との間に細長く延びる山である。藩政期にはこの付近全体が藩有林であった。近藤家文書には「本川(那賀川)筋,御林(藩有林)折宇谷,下ハ橋切,上者せい迄御留山(藩有林で伐採禁止の山)にて御座候。此内に少々伐畑(焼畑),すんさこと申所に一枚,ももうと申処に一枚御座候へ共,御林の内にて御座候ニ付,伐替不被仰付候」とある。藩有林の一部に地元民が焼畑をしているが,新しい切替えの許可が下りないというのである。また,同文中の「ももう」が桃ノ丸の山腹を指す地名であろう。現在は針葉樹の人工林になっている。那賀川本流に近く,山林は幕末から伐採の対象となっている。地質は秩父帯に属する。西の高ノ瀬峡は紅葉の名所として名高い。また高ノ瀬峡・久井谷ともにアメゴ釣りで知られる。登山道は東西の谷から植林道を利用して約2時間かかる。野猿が多く出没する。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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