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槍戸山
【やりどやま】


那賀郡木沢村の西端にある山。一ノ森の南方約1kmのピークをなす。標高1,820m。「阿波志」には鎗渡山とある。「小畠(村)にあり,広くかつ高し。(これより)土佐の界に至るまで樹木おほい。仰ぎて日を見ず。禁山(藩有林)となす。材木多きことけだし(国中)第一となす。ひろさ四里,長さ七里ばかり,此間熊多し。毎秋,穽(おとしあな)を作りて之を殺す。其機を名づけてアシという」。現行の地形図には山名の記載はないが,「灯下録」に「鎗戸の御林」,「小学阿波国地誌」に「鎗渡山」などとも書かれていたが,現在は槍戸が一般的で,槍戸峡谷・槍戸川などもある。槍戸峡谷に槍掛跡と名所がある。「阿波志」に「鎗掛淵,小畠(村)にあり,絶嶮行くべからず。相伝ふ昔,人あり。鎗をもつて梯に代えもつて渡る。因りて名づくと。鎗渡山より,麻植郡剣山に至る雨うけ樋なり」とある。木沢村の峡谷である。ジロウギュウから眺めると一ノ森と連続した山並みで独立した山には見えない。登山道は一ノ森から約1時間である。剣山国定公園のうち。付近一帯はツキノワグマの生息地である。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7197623