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六郎山
【ろくろうやま】


那賀郡木沢村の南端付近にある山。同郡木頭(きとう)村・上那賀町の境界をなす青ノ塔(1,433.5m)から2.5km東北東の木沢村内に入った地点にある。標高1,287.3m。中部山渓県立自然公園に含まれる。坂州木頭(さかしゆうぎとう)川を挟んで山岳信仰の黒滝寺と対峙する。藩政期には掛盤(かけばん)村に属していた。村名の由来は平家の武将が落人となってこの集落を通過した折,食器を載せる掛盤を持った小膳番がこの地で死亡し,郷土の森(ごうどのもり)に葬ったことによるという。小字六郎山がある。地質は秩父帯に属す。植物ではイヌブナ・ヒコサンヒメシャラ・イワツクバネネツギ・クロソヨゴ・シラカシ・イヌガシ・ハガクレシリフネソウ・チャボツメレンゲ・チャボホトトギス・モミジバセンダイソウなどがある。六郎山は瀬津・五倍木(ふしのき)・三田などの共有林であったが,明治期に名西郡一宮村(現徳島市)の業者に売却された。この山にも平家伝説が残っている。六郎山の北東方向の麓に五倍木集落があり,その少し上に幹回りが7.5mもある一本杉がある。木の下に小さな祠があって古鏡が納められている。昔,平家の落人が五倍木に住んでいたが,敵方が追ってきて住民に問いつめたので,住民はついその所在を言ってしまった。落人は六郎山まで逃れたが,ついにその地で落命した。その後,五倍木に不幸が続くので一本杉に,落人の形見の鏡を祀るという。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7197692