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愛宕山
【あたごやま】


仲多度郡琴平町の南部に位置し,金刀比羅宮のある琴平山(象頭山)に相対している山。標高は239m。大麻山山系の一部で,花崗岩の山地であるが,底部には花崗岩を貫いて岩脈状をなしている玢岩が露出しているのが見られる。山頂に愛宕権現が祀られていたことからの命名か。地元では愛宕神社は火の神さま(火産霊神)として知られ,毎年11月7日に祭礼が行われる。愛宕社の祭礼は,かつてとだえたことがあったが,大正初期,近辺に火災が多発したことから再興されたという。山上には石井弾正が築いた愛宕城があったといわれている。弘化年間に発行された「金毘羅参詣名所図会」では象頭山八景の1つに取り上げられ,「金ひら山の守護神すみ給ふ山にて魔所なりといふ」と見える。同書には山中に箸洗池があると記されるが伝説か。全山松などに覆われ,山頂からは眺望がきかず,現在は木の鳥居とコンクリート製の小さな祠があるだけで頂上への道は険しく,愛宕神社は中腹の文政年間に建立されたという菅原神社に合祀されている。山裾には琴平町の水源地や福祉法人琴平老人の家がある。また,象頭山との間はかつての伊予・土佐街道の終点に近く,牛屋口から琴平町谷川にかけては昼なお暗い原生林が茂り,往時の面影をよく残す。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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