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飯野山
【いいのやま】


讃岐七富士の1つで,讃岐富士の異名をもつ。綾歌郡飯山(はんざん)町の北端,坂出(さかいで)市・丸亀市との2市1町の境にある山。標高422m。讃岐平野の中央に緩やかな裾野を広げた美しい円錐形の孤立峰で,典型的なビュート。山名は「全讃史」に「上古飯依彦の倚る所の城の山なり。故に飯山と曰ふ」とあり,また「地名辞書」には「山容渾然,飯を山に盛りたらん様あり,讃岐国之を飯依比古の謂ふことは神代巻に見ゆれば其典故に因むにや」とある。伝説によると,昔,飯野山の噴火で付近の住民が被害を受けていたため仙人が大石で火口にふたをして噴火を止めたというが,飯野山は休火山ではなく,溶岩台地が開析浸食されて円錐状になったもの。山腹は松に覆われ緑が美しく,山麓にはモモ・ミカン・ブドウなどの果樹園や畑が多い。近年隣接の坂出市番の州臨海工業地帯の開発等につれ都市化が進み,ベッドタウンとして山麓の畑地が団地や住宅地に変わってきている。山頂には巨石や,おじょも(怪物)の足跡と呼ばれる岩があり,これらはいずれも古代巨石信仰の名残といわれる。西麓には延喜式讃岐二十四座の1つで,飯依彦命を祀る飯神社があり,周辺には国持主塚・鷲住王塚・三ノ池古墳などの遺跡が散在している。飯神社の上には丸亀市が開発した青少年野外活動センターがあり,広く市民のレクリエーションの場として利用される。頂上には大正11年,今上天皇来訪時の御製「暁に駒をとどめて見渡せば 讃岐の富士に雲ぞかかれる」の歌碑がある。また飯野山をよんだ句として,高浜虚子の「稲むしろあり飯の山あり昔今」がある。徒歩による登山口は数か所あるが,いずれも頂上までは十分整備されておらず,頂上にも展望台等の施設もなく観光地としては開発されていない。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7197798