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雲辺寺山
【うんぺんじやま】


三豊郡大野原町と徳島県池田町との県境にある山。標高911m。讃岐山脈(阿讃山地)の西部に位置する高峰で,西讃地方の南部山地の最高峰をなす。山域は,西は愛媛県から南は徳島県に至り,県内では観音寺市・三豊郡豊浜町・大野原町・山本町・財田町と広い地域にまたがる。地質は和泉層群の砂岩・泥岩互層で,早壮年期末期の山頂部に狭い平坦面がある。アカマツや雑木などに覆われ,山頂は眺望に優れる。徳島県側にある,四国霊場八十八か所第66番札所の真言宗御室派雲辺寺の寺歌に「はるばると雲のほとりの寺にきてつき日を今は麓にぞ見る」とある。山麓一帯は,古くは山林資源の重要な産地として大きな役割を果たしてきたが,昭和45~46年度に農地造成改良事業として曼陀高冷地野菜団地が造成された。農業の整備近代化を図るため,総面積32.1haの畑を開き,レタス・キャベツ・大根などの生産に力が注がれている。また,山麓一帯にはミカン畑約150haがあり,土地利用度は高い。当山は,古くから信仰の山としても知られ,山頂にある雲辺寺は,延暦8年,弘法大師(空海)16歳の時の開基と伝える。四国寺院中最も高い地点に位置し,老樹が茂りブッポウソウの声を聞くという。当寺院は徳島県に所在するが,讃岐7か所参りの打ち出し寺であることから,慣行として本県の札所に数えられる。山名は,弘法大師が唐から帰って草庵をつくった折,天に登り雲に座るような気分がしたので雲辺山と名づけたと伝える。この地方では大晦日の夜,除夜の鐘を聞いてから雲辺寺に参り,寺の焚火で持参の餅を焼いて食べると,その年は無病息災で過ごせるという信仰があり,元旦にも山頂を目指す県内外からの登拝者でにぎわう。電電公社の中継所をはじめ,西日本テレビの中継塔・四国電力故障報知所・日本放送協会テレビ中継所等が設置されている。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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