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王越山
【おうごしやま】


坂出(さかいで)市王越町地区にある山。標高236m。五色台の北に連なる尾根が槌戸瀬戸に突出する所に位置する。高松市との境をなす大崎鼻から,西の乃生岬へ,海岸線約8km余りにおよぶ旧王越村域の中央にそびえるメサ地形の山。木沢・乃生の両湾が深い入江をつくるため,標高以上に比高が大きく,山容は景観に優れる。地形的には国分台山系に属する開析された溶岩台地の1つで,東西両斜面とも標高約100m以下の山麓には果樹園が広がる。山名の由来は,一帯が北は海に面し,他の三方は五色台連峰の尾根とその尖端海食崖に囲まれ,陸の孤島といわれたように隔絶性が大きく,山の尾を越えなければ他の地域と交通できないので尾越と呼ばれたこと,神功皇后(2~3世紀頃)が朝鮮出兵の折,備前牛窓の海で牛鬼を討ち,西海に追う時,沖合で,産気づいたため王越町木沢に上陸,王越山を越えて宮山に登り平戎と安胎を祈ったという説(坂出の山名考・王越村誌)が結びつき,王越と呼ばれるようになったか。そのゆかりの地にあるのが梅宮八幡宮。頂上には御岳神社があり,第2次大戦前までは旱魃の時,火をたいて雨乞の神事が行われていた。雨乞の時には箸蔵寺から竹筒に入れた水を持ち帰り,金毘羅さんの御神火でお灯明をあげ,村の人たちが念仏踊りをして降雨を祈ったという。今は山に登る人も少なく,ふもとからの道はほとんどがカヤで覆われ不通(讃岐の山百景)。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7197985