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逢坂洞
【おうさかどう】


大川郡志度町の東部,鴨部(かべ)・小田の境界上にある標高63m余の隧道。旧小田村と旧鴨部村の双方からきた道が村境の峠で出会う所からの命名。明治36年に隧道が掘られるまでは,上方30mの所を,狭く険しい峠道が通り,両村間の交通・文化の障害となっていた。前面に瀬戸内海が開け,背後からは山地が迫り,わずかな平地に集落が点在する旧小田村は,陸の孤島ともいうべき所であったが,隧道の開通によって僻地性は幾分解消され,この隧道を通る小田~鴨部ルートは旧小田村の玄関口として長い間重要な役割を果たしてきた。しかし,第2次大戦後の町村合併に際しては旧小田村が旧鴨部村とともに西方の志度町と合併したこと,また,モータリゼーションの到来で県都高松への通勤が容易になったことなどにより,西への出口である小田峠を通る小田~鴨庄ルートが主街道となり,同路線は脇街道的な存在となった。なお,この隧道は幅が狭く大型車の通行が不能なために昭和52年舗装改修され,現在長さ83m・幅7.9mとなり,その名称も逢坂トンネルと改称。現在は県道大串鴨部線が通る。志度町の北東部に突き出た一大半島の先端に位置する小田地区は,東瀬戸内海有数の景勝地で,地区にはゴルフ場や白砂青松の海水浴場があり,付近の海は海釣りの適地として知られる。小田の漁民は進取の気性に富み,内海漁業に飽き足らず,第2次大戦前には朝鮮近海から黄海方面にまで進出し成功を収めるものも少なくなかった。現在も小田の漁民は東隣の津田町の漁民とともに西日本では珍しいサケ・マス船団を組み北洋に出漁している。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7197986