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大谷山
【おおたにやま】


三豊郡豊浜町と愛媛県川之江市の境にある山。標高450m。讃岐山脈(阿讃山脈)の南西端に位置し,地層は白亜紀の和泉砂岩である。山は南西に連なり,その支脈は台山となって獅子ケ鼻(豊浜町和田地区)に終わる。尾根が同町堀切海岸に迫る所は,山麓を削って,国鉄予讃本線と国道11号が通る部分だけが平坦地である。大谷山麓で伏流水となった水は,豊浜町西端の箕浦地区の地下水となっている。かつて山頂に設置された航空灯台は,昭和43年廃止となり,現在は建物だけが残る。第2次大戦中は航空監視哨として利用された。また,当山山麓の開拓の歴史は古く,天保12年8月,和田村の本村に住居のあった山内作兵衛が,当時は一面にアシ原だったと思われる山麓の開墾に着手し,弘化4年までに約1,031aを開いた。しかしイノシシ・シカ・ウサギなどの獣害で,せっかく開墾した畑地も大損害を被った。山内は万延元年から猪垣工事に取り掛かり,明治6年までに約1,610mの猪垣を完成した。当山林は江戸期,丸亀藩主京極家の所有であったが,明治期官有林となり,大正期には私有林となった。大正3~6年には大量の伐採に加え,同4年春の山火事によって山容が一変し,禿山となった。現在,山林は大部分が森林法による土砂流出防備保安林となっている。豊浜町の森林面積は約740haであるが,林業収益は期待できず,農業振興策として,傾斜地を開発して,果樹農業の規模拡大と近代化施設の拡充に取り組んでいる。高尾山麓,大谷山麓においては,ミカン・ナシづくりが盛んで,約45haの果樹園が開ける。また,大谷山麓は四国自動車道の建設が予定されている。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7198035