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五剣山
【ごけんざん】


木田郡牟礼(むれ)町と庵治(あじ)町の境にある山。標高376.5m。基盤の花崗岩の上に剣のようにとがった5つの峰が約70mの断崖をなしてそびえる。山頂付近の絶壁は寒霞渓(小豆(しようど)島)と同じく集塊岩であるが,軟かい部分が浸食され,讃岐岩質安山岩質集塊岩の硬い部分が岩峰となって残ったもの。中腹の標高250mの地点には弘法大師が開基したとされる高野山真言宗の千手院八栗寺があることから,一般には八栗山と呼ばれる。また,山名は,大師が修行中に当山最高峰の中の峰に5本の剣を埋めて守りとしたことにちなむともいう。366.2mの三角点標識のある北峰は元禄11年の大雨で崩れ落ち,東の峰は宝永3年の大地震で崩れ,やや不完全な形となった。八栗寺もこの地震で大破し,3年後の宝永6年に現在の位置にすべて改築された。八栗寺仁王門横に残る崩れかけた石垣は,中村宗卜の八栗城跡で,天正11年長宗我部の土佐軍と戦ったことが,「八栗合戦記」に記録される。当山は信仰の山として人々の注目を集め,山頂・断崖に諸神仏が祀られ,修験者の行場にもなってきた。今日でも八栗寺は四国霊場八十八か所第86番札所として,お遍路さんも多く,門前には土産物店や遍路宿などが軒を並べる。また,聖天堂にはお聖天さんの名で親しまれている歓喜天像を祀り,商売繁盛の本尊として信仰を集める。表参道や裏参道を徒歩で登ることもできるが,八栗登山口からケーブルカーを利用すれば5分で山頂に到着する。尾根伝いに北西に位置する女体山の山麓には,丁場と呼ばれる採石場が多く,全国の石の三大産地をなす。庵治石と称される黒雲母細粒花崗閃緑岩で,こまめ(細目)という最高級品は長石・石英の粒子が細かいうえに黒雲母を含み,磨くと暗緑色をおびた美しい光沢を発し,俗に石のダイヤとも称される。堅牢で風化にも強いことから墓石や灯籠などに加工されている。山麓の庵治町久通から八栗寺参詣道にかけては,石材関係業者が約400軒も集中し,石屋町を形成する。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7198521