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琴平山
【ことひらやま】


仲多度郡琴平町の背後にある大麻山の南峰にあたる山。標高521m。古来より象頭山といわれてきたが,明治になって琴平山と改称。琴平山の用例は明治12年3~6月にかけて催された琴平山大博覧会が初見で,琴平山への改称の理由は定かでないが江戸期金毘羅大権現と称された現金刀比羅宮が,明治元年に太政官達により琴平神社と称したことによると思われる。大麻山山系は本県に多く見られる溶岩台地性の山地で,基盤は花崗岩からなり,薄い凝灰角礫岩の層を挟んで頂部は硬い安山岩に覆われている。この硬い部分が細長い平坦面となって残り,南に向かって緩やかに傾いている。江戸期に象頭山と呼ばれた理由は,「金比羅参詣名所図会」に「遠望より山の形勢象の頭の如くなるがゆゑに名とす」とあるように,東方から,金刀比羅宮旭社を望む時,山容が象の頭に見えることによる。地質との関連でいうと,緩やかに南に向かって傾いている浸食されにくい安山岩の部分が頭であり,浸食されやすい凝灰岩の部分が額,基盤の花崗岩が長く伸びる鼻の部分にあたる。琴平山の林は金刀比羅宮の社叢であることから,本県では最も自然が保たれた樹林で,一部には造林地も含まれるが,亜極相の照葉樹の原生林がみられ,樹齢が300年を超えるものもある。ツブラジイ林,ヤマモモ・カシ類が見られ,クスノキ林はわが国の北限地。樹林には多くの植物や昆虫が生息し,本県の生物の貴重な宝庫となっている。社叢は昭和26年に国の天然記念物に指定された。琴平山には金刀比羅宮,絵馬堂,表・奥両書院,旭社,付属博物館・図書館など,多くの貴重な文化財・文化施設がある。また当山は国名勝および国天然記念物に指定され瀬戸内海国立公園の指定地域ともなっている。年間350万人程度の観光客がある。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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