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大川山
【だいせんざん】


仲多度郡琴南(ことなみ)町および徳島県三野町にまたがる山。標高1,043m。県内第2位の高峰。北麓を県下最大河川の土器川が東西に横切って流れる。ほかに塩入川・柞野川・勝浦川など,河谷を西および東に発達させ,南には河内谷川が展開し,吉野川左岸の三野町芝生に複合扇状地を形成する。西の猪ノ鼻峠からほぼ東西に走る讃岐山脈の主脈部は,大川山頂上からほぼ直角に南に折れ,真鈴峠に至る。山体を構成する岩石はいずれも和泉砂岩・頁岩の瓦層からなり,南面の河谷は満壮年期の形状を示す。山頂には大川神社があり,付近の社叢は天然林としてよく保護されていて,自然の景観に優れる。山名は,大山祇神を祀ることから,本来は大山山のはずであるが,神社を指して大山さんと呼んでいたものが,雨乞の神として大山から大川に転じたものと思われる。昔から雨乞の神事が盛んで,生駒讃岐守が寛永5年に奉納した念仏踊りの鉦鼓が今も保存されており,毎年旧暦6月14日には地元の氏子たちによって踊られる。また,地元では安産の神として多くの信者を集め,香川・徳島の両県からの参拝客も多い。「全讃史」には大仙山と見え,当山に巡遊した役小角が,大山祇神の要請により,祠を建立し,木花咲也姫を副神に祀ったという。木花咲耶姫を祭神とすることから安産の神ともいわれるようになったものとみられる。頂上に至る参詣道はいくつかあるが,中通(なかとう)から入るコースが最も一般的。古い参詣道沿いには赤松の老樹が,一定の距離をおいて植えられ,所々に石の道標が丁目を刻む。ハイカーや登山者に歴史を語る自然歩道として親しまれているが,今では頂上まで林道が開かれ車の乗り入れが可能となった。山頂付近に野外活動施設も琴南町直営で整備されている。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7198943