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中讃
【ちゅうさん】


本県を三分したうちの1通称地区名であるが,いくつかの概念で用いられる。1つは,古くからの水産業界による海域の分割呼称。東讃地区・中讃地区・西讃地区と分割し,東讃は播磨灘海岸,中讃は備讃瀬戸,西讃は燧灘を指し,魚種・漁法などすべてに大きな差異があるため,今日まで分けて使われてきた。2つは陸部における分割呼称の1つで,中讃の語が公的に頻繁に使われるようになったのは,児島~坂出(さかいで)間の瀬戸大橋架橋が決定した昭和40年代後半からで,架橋上陸地点の受皿づくりとして中讃地域の名を冠した調査や整備計画の報告書が次々と出るようになった。また,陸部における呼称では別に,第2次全国総合開発計画の広域市町村圏づくりの際,県内に6圏ができ,その1つとして,丸亀・善通寺市を中心に仲多度郡全町と綾歌郡の2町が合同して中讃地区広域市町圏ができた。公的な行政地区としての中讃の出現である。しかし,広義に用いる地域と行政地区とはかなりのずれをみせ,最も一般的な陸部における中讃概念は,坂出広域圏の坂出市と宇多津町,高松広域圏に属す綾南(りようなん)・綾上・国分寺各町の1市4町を含めた範囲をいう。このことからも6圏のうち中讃広域圏と坂出広域圏の合併が望まれている。中讃を本県陸部の分割呼称の1区分と考えると西讃はわずか三豊郡だけとなり,広域市町圏でいう観音寺中心の三豊地区と完全に一致する。三豊郡には三豊モンロー主義という語があるくらい政治などの面で団結心が強く地域共同性が強い。第3次全国総合開発計画の定住圏構想では,本県は東讃地区・西讃地区定住圏に2分割されている。この2分割構想は第2次全国総合開発計画でいう広域市町圏の上部構造的意味をもつ。したがって上述の三豊・中讃・坂出の3広域市町圏を包含し,県下2分割法の西讃に最も近い地域の概念といえる。




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「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7199089