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長柄池
【ながらいけ】


綾歌郡綾上町東分,綾川水系の上流にある長柄ダムの貯水池。長柄の地名は,綾川本流と西長柄川合流の中河原に由来するとか,弘法大師が「なまらの地」と称したのに由来するとかいう。長柄池の碑に「霞の衣身にまとう阿讃の山は秀でて清き流れの集るところ長柄の池の恵みは深し」とある。主基斎田の山田米に代表される良質米の産地であるこの土地も,かつては度重なる旱魃や洪水に見舞われるという歴史をもつため,かねて住民のダム建設を望む声は強かった。昭和10年綾上町東分の地にダム建設が計画され,国庫助成を受け県営事業としての工事施行が決定した。水没戸数は,神社を含め26戸,水田14ha,畑2ha,その他合わせて34.5haであった。買収価格は,水田10a当たり7万円,畑3万円,山林2万円であり,総額2,100万円を要した。しかし,着工後,昭和16年に太平洋戦争が勃発し,戦局が進むにつれて資材不足,人手不足をきたし,昭和19年には決戦措置法により工事は中止された。終戦後も経済的・社会的混乱と物資不足から再開の見通しが立たず前途が憂慮されたが,昭和24年に再開,同28年3月待望の完成をみた。ダムは溢流型直線重力式コンクリートダムで,堤高30m,堤長124m,満水面積35.7ha,貯水量380万m(^3),受益面積1,350ha。6,600tのセメント,鋼材49tを使い,人夫延べ25万人,工事に伴う犠牲者2人,総事業費は2億4,000万円であった。ダムの完成により,永富池・北条池両土地改良区の水田1,600haが恵みの水を受けるとともに,坂出(さかいで)市民の飲用水,番の州工業地域にも水が送られ,5,200戸の民家が洪水の難を免れることになった。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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