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女体山
【にょたいざん】


大川郡長尾町・寒川(さんがわ)町・白鳥町におよぶ山域からなる山。標高760m。南麓に四国霊場八十八か所第88番札所,大窪寺がある。西に矢筈山,東に東女体山・檀特山・笠ケ峰などを連ねる東讃地方第2の標高をもつ山地で,大窪寺の裏山に当たり,長尾町側からは長尾女体,寒川町側からは石田女体,白鳥町側からは東女体などとそれぞれ呼称される。長尾女体と呼ばれる部分は大窪寺の境内から北に支稜を登りつめ,東西に走る主稜部をわずかに西にいった頂上部を指し,女体神社の祠がある。山名は志度町に伝わる玉取り伝説に由来する。昔,藤原房前大臣に随行した女官が地元の男と結婚した。女官の肌が奇麗であったことから,死後水神と化し,雨乞の社としてのちに近在の人々から崇拝されるようになったと伝える。特に大旱魃の時など農民多数が夜を徹して大火をたき,裸で踊り通す風習が長く伝わっていたという。山頂を北に下ればキャンプ場があり,国立香川大学農学部の演習林宿所太郎兵衛館が所在。昭和9年県行造林事業施行の際仮宿舎として設置されたもので,今では鴨部川渓谷沿いに自然歩道四国の道としてハイカー注目のコースの一部にも組み込まれている。太郎兵衛館からやや西寄りの丘陵地に昼寝城址があり,さらに下ると県営前山ダムに達する。南西に発達した浸食谷はいずれ祖江谷川に通じ,徳島側に流れ,脇町付近で吉野川に注ぐ。山容は壮年期の様相を呈し,花崗岩の風化浸食は極めて著しい。近年長尾町側から林道が開かれ,山頂の一角を切り通し,大窪寺に通じる。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7199397