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星ケ城山
【ほしがじょうさん】


小豆(しようず)郡内海(うちのみ)町にあり,小豆(しようど)島のほぼ中央部に位置し,名勝寒霞渓の東側にそびえる山。標高817m。鞍部を挟んで東峰と西峰に分かれ,東峰は小豆島の最高峰であり,瀬戸内海諸島中においても最高点。花崗岩を基盤とし,その上に安山岩がのる。山名は,長い年月の間に浸食が進み,尾根が星型に残ったことによるという。植物は,ウリハダカエデ・アサヒカエデ・コハウチワカエデなどのカエデ類が多く,その間にモミが点在する。野鳥の種類が多く,夏鳥としては,県鳥のホトトギスをはじめ,オオルリ・キビタキ・センダイムシクイ・サンコウチョウ・メボソムシクイ・ヨタカ・サシバ・アオバズク・ミゾコイ,山地を乱舞するコシアカツバメなども観察できる。冬鳥としてはツグミ・ジョウビタキ・ルリビタキ・マヒワなどが見られる。頂上付近に星ケ城という中世の典型的な山城跡がある。天智天皇の時代に大陸勢力の侵攻に備えて構築された朝鮮式山城の遺構との説もあるが,西峰と東峰の両城に分かれる。南北朝期に備前の佐々木信胤が居城し,正中2年,北朝の細川師氏軍によって落城したといわれる。これに関連する伝説が,坂手の徳本地区や苗羽(のうま)の堀越地区等で語り継がれる。徳本地区では,信胤の星ケ城落城後信胤の6人の家臣がこの地に落ち延び,農業に従事した。これが集落形成のはじめといわれ,現存する山の神は,この6人の家臣を祀る祠という。堀越地区では,星ケ城落城の時,信胤の娘がこの地まで逃れ,土地を掘って水を湧出させ,渇きをいやしていた。これを見た堀越の村人たちは娘に石を投げつけ,殺した。その祟で堀越の住人は残らず絶えたという。その後,天文年間,坂手地区から移住によって現在の堀越地区を形成したが,人々は先に殺された娘の霊を音の宮神社に祀ったという。音の宮神社など内海町内には,城崩れの神と称する佐々木方の一族郎党を祀る五輪塔や小祠が多い。西峰には,小豆島を生んだ島魂の神といわれる,大野手媛命を祭神とする,阿豆枳神社,東峰には,高御産巣神や天御中主神等の5神を祀る豊受大神宮がある。山頂からの眺望は,小豆島の最高峰にふさわしい景観が開ける。寒霞渓山頂への遊歩道も整備され,ハイキングなどに最適のコースとなっている。星ケ城自然研究路(1,500m)へは,寒霞渓道路(小豆島ブルーライン)を利用すると便利。星ケ城跡は昭和47年4月県史跡に指定された。




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「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7199703