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大川嶺
【おおかわみね】


上浮穴(かみうけな)郡美川村・柳谷(やなだに)村・小田町の境にある山。標高1,525m。東から西の明(にしのみよう)(1,505m)・美川峰(1,525m)・大川嶺・笠取山(1,562m)と1,500m以上の山が円弧状に連なる大川嶺連峰の主峰。北西1.5kmには狼ケ城(ろうがじよう)山(1,380m)がある。地質は秩父古生層の千枚岩とチャートからなる。地形は山腹斜面は急峻であるが,山頂部には隆起準平原の平坦面が広く見られる。久万郷(くまごう)の各所から眺められるこの山塊はドーム状の重量感あふれる山容を見せる。山頂部一帯は西の小田深山から続く国有林である。山腹には天然林がうっそうと茂っていたが,現在は人工林に変わる。山頂付近の隆起準平原はクマザサの一面に生い茂るなかにダイセンミツバツツジの大群落がある。また山地一帯にはウド・ワサビ・フキ・ワラビなど山菜や,胃の薬のセンブリが豊富。山頂部の平坦面は,昭和51・52年の両年にわたって,国営の草地開発事業が実施され,135haの草地が造成された。そこに美川村の経営する育成牧場「四国カルスト大川嶺牧場美川平」が開設され,同55年には久万農協や山麓住民の乳牛・肉牛など190頭を預託し放牧している。牧場用地のうち,美川村分65haは村有林,柳谷村分70haは国有林の借地である。付帯事業として,美川スキー場から大川嶺の山頂まで,昭和49年から51年の間に道路が建設された。山頂からの眺めは雄大であり,大野ケ原・石鎚連峰をはじめ,遠くは三坂峠越しに瀬戸内海の島々も眺望できる。昭和39年大野ケ原などとともに四国カルスト県立自然公園に指定された。冬季積雪量が多いので,自然のスキー場になり,夏も登山者が多い。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7200570