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加茂川
【かもがわ】


西条市の南部から北西に流れる2級河川。河川延長32.94km。四国山脈の高峰石鎚山・瓶ケ森・笹ケ峰に発し谷川,市之川の支流を合わせ,西条市の沖積平野を貫通し,市の北西で燧(ひうち)灘に注ぐ。流域面積は本流分104.3km(^2),支流谷川分70.5km(^2),市之川分17km(^2),合計191.8km(^2)。河口より13km上流の黒瀬に昭和48年県営黒瀬ダムが完成した。流域は古生代の長瀞(ながとろ)変成岩に属する緑色片岩・黒色片岩地帯で,緑色片岩は「西条の青石」と呼ばれ庭石として珍重されてきた。有史以前より多量の土砂を搬出した加茂川は,洪積世に伊曽乃神社の鎮座する台地を形成し,長い年月を経て左岸中野付近にその流路の遺跡をとどめて曲流した。昭和36年12月の水脈調査の結果,ある時代の加茂川の主流は現在の西条農業高校付近から神拝(かんばい)の方向へ走り,一方御船川の筋へも相当水量の緩流があったと思われ,八堂山のはずれから北に向かって,川にちなんだ地名が点々と続き,また市内各所に湧水がみられる。加茂川の流れが自然に地下に浸透し,豊富な伏流水を涵養しており,これに約15~20mのパイプを打ち込むと自噴水となって地上に湧き上がり,西条の打ち抜きと呼ばれて西条名物の1つになっている。この水は水温が年中約13℃と不変で,一般市民の飲料水のほか,灌漑用水や工業用水としても利用されている。加茂川は昔,八堂山の麓から御船川方向に流れていたのを,光明寺の僧常真が改修したと伝えられ,加茂川に架かる国道11号加茂川橋の東のたもとに常心という地名を残している。これは,加藤嘉明が全領内に企図した治水土木の事業が加茂川にも施行され,設計は足立重信で,嘉明によって讃岐から招かれた常真が工事に協力した功によって寺地を拝領したものであろう。加茂川上流は加茂川渓谷と呼ばれ,河口(こうぐち)の三碧峡や下津池の止呂(とろ)ケ淵などの峡谷が訪れる人々の目を楽しませている。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7200929