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加茂川渓谷
【かもがわけいこく】


西条市を流れる加茂川上流の渓谷。河口(こうぐち)付近は河口谷と周桑(しゆうそう)郡小松町石鎚方面からの加茂川が合流し,谷川の水の青さ,谷底の岩の青さ,周囲の樹木の緑から三碧(さんぺき)峡と名づけられた峡谷をつくっている。付近には目鼻石・のぞき岩場・こりとり場があり,加茂川渓谷中の景勝地として知られる。渓谷に沿って県道西条久万線が走る。また支流谷川流域の下津池付近は止呂(とろ)ケ淵と呼ばれる深い峡谷で,昭和26年吉居地区に通ずる林道が開通し,吊橋(現在は鉄橋)が架けられて一躍観光地として脚光を浴びた。西流する吉井川が橋の下方で加茂川に合流し,周囲の絶壁や河床の奇岩は加茂川渓谷中随一の景勝である。付近に薄雲姫物語伝説で知られる風透(かざすき)山がある。なお,加茂川上流にはいくつかの谷がある。大保子(おおほご)谷は,「おおふこ谷」ともいい,高知県境の瓶ケ森と西黒森の間に発し,扇山の南を東流して,出合で主谷(おもだに)と合流する。御塔(おとう)谷は,御灯谷とも書き,石鎚山と成就を結ぶ八丁坂の東にあり,西之川で名古瀬(なごせ)谷と合流する。合流点までの長さ2.618kmの2級河川。谷名は天柱石(御塔石)と呼ばれる水晶の形をした岩があることによる。主谷は,加茂川の支流谷川の上流にあり,東の桂(かつら)谷と合し川来須(かわぐるす)に至る。西黒森と東黒森・自念子ノ頭の間の山腹に源を発する。桂谷は,高知県境の寒風山と伊予富士の間にあり,主谷に合流して谷川となる。谷の上流にかつて銅を産した基安(もとやす)鉱山跡(昭和47年閉山)があり,谷沿いに索道で鉱石が搬出されていた。瓶壺(かめつぼ)谷は,瓶ケ森の氷見二千石(ひみにせんごく)原に発し,名古瀬谷に合流する。登山路の横を流れる谷川の河床に瓶壺形をした丸い穴があるところから名づけられた。シロジ谷は,高知県境の子持権現山の山腹に発し,西流してハト谷と合流し名瀬谷となる。名古瀬谷は,石鎚山・岩黒山・瓶ケ森を結ぶ大きな半円形の谷の中心で,シロジ谷・おだま谷・極印木谷を集めて北流し,途中で瓶壺谷も合流する。西之川で東谷および御塔谷が合して河口谷となる。ナゴセはナコ・セで,ナコは小平地,セは水のセ(背)で浅瀬を意味する古語が地名となったものと考えられる。御塔谷との合流点まで2.836kmの2級河川。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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