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黒川
【くろかわ】


上浮穴(かみうけな)郡柳谷(やなだに)村を西から東に流れる川。仁淀(によど)川の支流。延長22.4km。上流は菅行(すぎよう)川と呼ばれ,小田深山(おだみやま)の国有林に発する。川床は比較的平滑であるが,秩父古生層中の硬岩のチャートが断崖や峡谷を形成している。安芸貞淵(あきさだのふち)・五色河原・藤見河原などの景勝地が並び,カエデとカツラの新緑と紅葉が美しい。渓流にはハコネサンショウウオが生息し,アメノウオ・ニジマスも多い。中流の古味(こみ)では左岸より高野川(延長9.1km)が,大成(おおなる)では右岸より名荷谷(みようがだに)川(延長7.4km)が合流する。高野川は東宇和郡の大野ケ原に源を発し,中流の中久保は18戸の農家が均等な土地所有をし,焼畑耕作が盛大に行われていた集落として有名であったが,近年戸数の減少が著しい。名荷谷川は大川嶺の南麓に源を発し,その源流の木地渓谷は天然広葉樹の美林がみられる。木地は昭和初期まで木工細工の行われた木地師の定住した集落である。黒川の下流は鋭いV字谷をうがち,八釜の甌穴群を形成。付近一帯を柳谷キャニオンと呼ぶ。水量豊富なこの川は水力発電が盛んで,四国電力の黒川第一(明治44年建設,最大出力1,200kw)・黒川第二(大正11年建設,最大出力5,000kw)・黒川第三(大正12年建設,最大出力350kw)・小村(昭和18年建設,最大出力2,900kw)・黒川第五(昭和26年建設,最大出力5,300kw)の各水路式発電所がある。流域の大部分は四国カルスト県立自然公園の一部である。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7201278