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地蔵山
【じぞうやま】


北宇和郡日吉村と高知県高岡郡檮原(ゆすはら)町との境にある山。標高1,096m。地名の由来は,山頂付近の伊予側と土佐側にそれぞれ石の,伊予地蔵と土佐地蔵が安置されていることによるものと考えられる。日吉村の奥地は土佐との交流が盛んで,地蔵山は日吉村節安(せつつやす)・屋敷と土佐檮原の下津井とを結ぶ山道が通じていた。日吉村最奥の節安に,昭和16年日吉村中心地からの林道が通じるまでは,節安の住民は地蔵峠を越えて土佐檮原地区との交流を盛んにしていた。日吉村側の山林は昭和初期までは節安組有林で,節安の住民が薪炭材・用材の採取林として粗放的に利用していた。昭和15年林道建設資金の個人負担金を得るため東京の飯野海運に売却,のち国有林となり今日に至る。山腹斜面は営林署の手によって人工造林されているが,山頂付近にはブナ・サルスベリ等の天然林を残し,春の新緑,秋の紅葉が美しい。またサル・シカ・イノシシなどの野生動物も多く生息する。日吉村では自然保護に力を入れているが,昭和46年から工事の始まった大規模林道が尾根沿いに建設され,自然景観も変貌するものと考えられる。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7201629