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戸祇御前山
【とぎごぜんざん】


北宇和郡広見町と日吉村および松野町の境にある山。山頂の三角点は広見町側にある。標高946m。地質は中生代四万十層群の砂岩と泥岩の互層よりなる。頂上からは鬼北盆地・宇和海が眺望できる。登山道は広見町の葛川(つづらがわ)・延川(のぶかわ)・大藤,日吉村の蛭谷(ひるたに)から通じている。北側斜面は大字川上と延川の共有林で,大正年間までは春先に山焼きされ,入会の採草地として利用された。また山麓の広見町葛川や日吉村蛭谷には,土佐の十和村から焼畑耕作に入作していた者もいた。蛭谷は十和村地吉(じよし)の住民が焼畑耕作に入作して開いた集落であるが,昭和35年ころ廃村となった。山頂には祠があり,5月上旬葛川の12人組のうち2人の当番が御神酒をもってお参りする。なおこの山には次のような伝説が語り継がれている。天承12年ごろ,三島村清詰のとうが森城主芝一角の奥方が,長宗我部の軍勢に追われ,戸祇御前へ逃亡の途中延川の川奥の天狗滝の穴の中に財宝を隠して戸祇御前へ向かったが,朝露で着物がぬれたので下着の赤い腰巻を干したところ,長宗我部の先兵に見つかり,捕えられて殺された。以後赤い着物を着て登山すると道に迷うといわれている。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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