富郷渓谷
【とみさとけいこく】

伊予三島市富郷町にある銅山川の渓谷。宇摩(うま)郡別子山(べつしやま)村から東流する銅山川が伊予三島市富郷町津根山の城師付近から北に屈曲し，ほぼ東西に走る結晶片岩層を同町豊坂付近まで約6kmにわたって南北に切断して形成した渓谷。特色ある植物・奇岩・奇勝が多く，昭和36年金砂湖(きんしやこ)県立自然公園に指定されている。戻り崖は川面から高さ60mの直立した絶壁で赤松・岩ツツジが根を張り，岩間には慈雨観音が安置されている。付近の河原は市営キャンプ場となり，キャンパーでにぎわう。中尾橋対岸には青赤色の蛇紋岩が褶曲層を見せて露出し，瀬井野近くにはツゲなど蛇紋岩植物が自生している。上流には猿飛淵や戸女(こによ)の接待などと呼ばれる大甌穴群，瓶割のキャンプ場がある。付近の藤原などにはフジ・イブキビャクシン・ツバキ・カヤ・シャクナゲの巨樹があり，多くは天然記念物に指定されている。

KADOKAWA 「角川日本地名大辞典」 JLogosID : 7202329