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豊受山
【とようけやま】


豊岡山とも書き,「おといこさん」とも呼ぶ。法皇山脈中の伊予三島市西部にそびえる山。標高1,247m。山頂付近が三度が崖という断崖絶壁となっている。山頂には豊受姫命を祀る豊受神社の奥社,北腹の豊岡町岡銅には「三代実録」巻36に記されている井河神社,北西麓の宇摩(うま)郡土居(どい)町津根には式内名神大社の村山神社があり,斉明天皇が筑紫行幸の途中,津根の里に滞在中,村山神社を内宮として天照大神を祀り,豊受山頂に豊受姫命を祀って外宮としたという。豊受神社の社殿は石の社であったが,大同年間に伊勢神宮の例にならい式年遷宮となり,現在に続き,宮司家は慶応3年まで朝廷より正五位などの位階を授けられたという宇摩地方きっての古社である。奈良期の「宇摩郡常里戸主金集史」(河内国古市西琳寺文書)や平安初期の「常及鋳銭司」(三代実録巻18)の記録から豊受山一帯は古代において鉱物資源とかかわった要所であったと考えられている。いつごろからか日本三大局地風であるやまじ風を封じる神として信仰されてきた。毎年6月15日と9月15日の大祭には山の南の富郷町と北の豊岡町の人々が両側から御供えの団子を「七荷片荷(ひちかたに)」にして御神前に献上し,また風の神(科津彦神)の住む風穴にも投げこんで慰め,その年の豊稔を祈る。さらに旱魃のときには火をたいて雨乞い踊りをして降雨を祈ったという。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7202343