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楢原山
【ならばらさん】


奈良原山とも書く。高縄(たかなわ)半島の中央部,越智(おち)郡玉川町にある山。標高1,042m。高縄山系の主峰の1つで町南部にあり,木地川と蒼社(そうじや)川の分水嶺となっている。奥道後玉川県立自然公園に含まれ,瀬戸内海の島々や石鎚山系・道後平野などの展望にすぐれる。現在は鈍川(にぶかわ)温泉を経由して木地上ケ成(うわがなる)からの登山道が一般的であるが,旧参道は桜の名所仏ケ峠と千疋峠を越えるコースがにぎわった。当山は越智郡全域を潤す水源で,山容も美しく,古くから霊地として崇拝されたが,有名としたのは山頂にまつられる奈良原神社である。南北朝のころに長慶天皇が牛の背に揺られて入山されたという伝説もあって,近世に入ると牛馬の守護神としての信仰が盛んとなり,牛馬の繁栄講により東予一円から道後地方にまで広がった。旧8月の午や丑の日は参道は牛馬を引く参詣人であふれたという。しかし昭和30年ころには牛馬の飼育をする農家も少なく,同山も今治市民のハイキングの地となっている。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7202505