100辞書・辞典一括検索

JLogos

7

祓川渓谷
【はらいかわけいこく】


北宇和郡津島町の篠山(ささやま)と,瀬戸黒森の間を北流し,松田川に合流する渓谷。延長3kmの間に500mほどの高度差があり,滝と急流の多い渓谷美で知られている。篠山山系の地質は中生代四万十層群の砂岩と頁岩の互層よりなるが,その南麓には新生代新第三紀に貫入した花崗岩が露出している。祓川渓谷の上・中流部は四万十層群の砂岩・頁岩が花崗岩の貫入時に熱変成したホルンフェルスの中を流れ,下流部は花崗岩の中を流れる。渓谷中の代表的な滝に,九段の滝・やけ滝・すずき滝・三つ輪の滝がある。このうち前3者は20~25m程度のホルンフェルスの急崖を落下する滝,三つ輪の滝は傾斜30°度ほど花崗岩の岩肌を幅広く流れ下るナメリ滝で,長さは約100mほどある。渓谷流域の植生は,カシ・シイなどの広葉樹林がうっそうと茂っていたが,渓谷沿い数mを残して伐採,人工林化されている。下流域の渓谷中にある祓川鉱泉は,祓川霊湯由来記によると,宝暦2年篠山権現の霊夢によって,庄屋松岡六兵衛が発見したもので,宇和島藩では庄屋に湯壺を作らせ入湯を許可し,この地に湯屋という地名も付けられた。昭和38年にはボーリングに成功し,湧出量も増加した。微量の弗素・ラドンを含む弱アルカリ単純泉である。温泉施設はなく,地元住民の一部が利用するのみである。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7202715