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基安鉱山跡
【もとやすこうざんあと】


西条市南端,高知県境の伊予富士(1,756m)・寒風山(1,765m)の中腹にあった銅山。寒風山トンネルの西方に位置し,坑道は県境を貫いて高知県にまたがり,黒滝・一之谷の諸鉱山に連なっていた。発見の時期は明治年間と思われるがさだかでない。大正3年に弘益殖産の手に移り,昭和5年に基安~枝折(しおり)間に索道が架設され,月産400~500t,銅含有率2.5%であった。昭和18年住友金属鉱山が買収したが,昭和24年10月から同26年9月までは探鉱のみの稼業となり,逐次鉱量の獲得に努めた。同27年より生産量が増加し,最盛期の同31年には月平均2,500t,銅含有率1.6%,銅量40t程度となった。鉱石資材輸送合理化のため,同32年7月末で枝折~黒石間の索道を廃止し,自動車通行が可能となった道路により,技折―西条―新居浜をトラック輸送に切りかえた。その後埋蔵鉱量の減少もあり,同33年4月に一部人員を本山に転出したほか,同38年10月,自立安定経営のための減員措置により人員が減少し,1日45t,月1,125t,銅含有率1.5%,銅量17tの生産となった。しかし鉱量の減少に伴い鉱況が悪化し,生産量確保が困難となり,昭和47年7月末をもって閉山した。最盛期には約65戸・300人ほどの鉱山集落を形成し,小学校も開かれていたが,閉山後は家屋もすべて撤収し無人の地となった。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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