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矢落川
【やおちがわ】


伊予郡双海町から大洲(おおず)市北部を流れる1級河川。肱川の支流。河川延長22.5km。双海町の壺神山(971m)に源を発し,双海町の法師地区から大洲市北部の大字田処・柳沢の渓谷を南へ,そして大洲盆床の東端に当たる大字喜多山と大字新谷の境界付近から平地部内の流路を西に転じ,そのまま4km下流の突合(つきあわせ)(国鉄予讃本線五郎駅付近)で肱川本流に合流する。この下流部一帯には大洲市内屈指の穀倉地帯が開けているが,ここは肱川本流部からの逆流現象もあって洪水の害を最も受けやすく,かつて昭和18年と20年の2回,未曽有の大水害によって旧堤防が決壊し,田畑は一面の砂礫をかぶってひどく荒廃したことがある。その後建設省の直轄河川となり,治水対策がたてられてからは平野部における川幅を拡張し堤防や橋桁を嵩上げする工事が引き続き進められたが,昭和54年にようやく竣工した。なお新谷(平地部)と喜多山(山地部)の境界付近にあたる矢落橋から上流田処までの約12kmには,護岸のために植えられた藩政期からのメダケ類が今もよく繁殖しており,ちょうどこの区域が「ゲンジホタルの発生地」として昭和34年12月25日県の指定(天然記念物)を受けた。最近は農薬類の乱用がホタルの幼虫の餌となるカワニナの生息を阻み,ゲンジホタルそのものも漸減の傾向にある。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7203465