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横吹渓谷
【よこぶきけいこく】


北宇和郡津島町を流れる岩松川上流の渓谷。昭和39年3月21日篠山(ささやま)県立自然公園の一部として指定,さらに同51年10月29日県営横吹鳥獣保護地区に指定されている。長さ1,500mの渓谷は険しいV字谷をなす。この渓谷はかつての岩松川と松田川の分水嶺にあたる部分が,岩松川の頭部浸食によって切断された横谷で,両岸が絶壁となって迫まる。地質は中生代四万十層群の砂岩と頁岩よりなり,これら岩石の差別浸食の結果変化に富んだ渓谷美をなす。中央部鍋淵より下手には早瀬と淵が続き,上手には滝と峡谷が続く。渓谷の両岸は国有林であるが,川沿いの部分は崩壊防止林として,50~100年生のカシ・ナラの天然広葉樹林がうっそうと茂る。餌づけはされていないが野猿の生息地でもある。渓谷の美しさでは,南予で滑床渓谷に次ぐが,いまだ観光開発は進まず,地方住民の行楽地の地位に甘んじている。なお渓谷の中腹に通ずる県道宿毛津島線は,大正12~13年の間に開通したが,これは御槇(みまき)村の住民が村有林のうち800町歩を県に売却し,その資金で完成させた道路である。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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