蟹ケ池
【かにがいけ】

土佐市宇佐町竜，横浪半島先端部付近にある池。四国霊場八十八か所第36番札所青竜寺の門前にあり，竜の池，七葉の池などの称もある。面積約３ha。沼沢状の池で，ハスの群生のほか，ホテイアオイやヒシなどが繁殖し，夏季には水面はほとんど見えない。昭和40年頃までは，東西150m・南北80mほどの水面が見られ，水深も数ｍあったが，外来植物のホテイアオイが侵入，繁茂し，腐植堆積して浮島景観を作り，湿地帯に遷移しつつある。周囲も，水田の耕作が放棄されたこともあって，ガマ・ヨシなどが群生，密生して湿原化している。かつては，コイ・フナ・スッポンなども生息した。ベッコウトンボの生息が確認された地としても知られている。禁猟区でもあるので鴨の飛来がみられる。縄文海進期の海面が，その後の海退期に池と化したものとされる。かつて，青竜寺の寺領であったこともあり，現在は横浪大規模年金保養基地建設予定地に入り，国有となっている。

KADOKAWA 「角川日本地名大辞典」 JLogosID : 7204925