香宗川
【こうそうがわ】

香宗川水系の本流。２級河川。香美郡香我美町を貫流する。流路延長20.2km。香我美町の中部，東川地区別役(べつちやく)字土居付近が源流点で，南西流して正延・末清・末延を経て山川の下流で，中西川地区安場坂付近を源流とする支流中西川をあわせ，下分地区で香長平野の東端に出る。同郡野市町東部，中ノ村付近で香我美町山北地区からの山北川をあわせて南流，同郡赤岡町の立地する海岸砂堆の背後を迂回し，河口付近で，野市台地を流れてきた小流の烏川をあわせて，土佐湾に注ぐ。なお，山川の下流部分は，東川の別称がある。流域の大部分は山間地帯であるが，東川地区山川には式内社の天忍穂別（岩舟）神社の所在をみ，下流部の平野には，条里制地割遺構の残存がみられたように，古くから開発され，中世には，ほとんど全域が大忍(おおさと)荘に属していた。また，昭和初期まで，山北を経て安場峠を越える道筋は，物部川上流の中心地大栃と，香美郡の行政・商業の中心地赤岡町を結ぶ主要なルートで，塩の道でもあった。下流平野部は，前面を砂堆にさえぎられ，曲流角度も大きいので，氾濫のたび重なる後背湿地も多かったが，近年，河川の整備，圃場整備も進展した。

KADOKAWA 「角川日本地名大辞典」 JLogosID : 7205547