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咥内坂
【こうないざか】


高知市の西境,愛媛県松山市方面へ向かう国道33号が朝倉地区から吾川(あがわ)郡伊野町へ越える坂道。峠付近が行政界で,標高約26m。古くから,鏡川流域の土佐郡と仁淀川流域の吾川・高岡両郡方面とを結ぶ主要な往還で,天正16年の朝倉荘地検帳でも,朝倉大道・咥内坂の記載があり,江戸期の「土佐州郡志」にも見える。旧道は現在の国道とは若干異なり,赤鬼山のふもとを迂回し,現在の行政界付近にあった山の鞍部を,咥内坂・鳥越坂の2つの坂を越えて伊野町に向かっていた。現在の咥内坂は,明治20年頃,高知~松山間の新道工事に伴い切通し工事がなされ,整備されてきたもので,明治41年敷設の電車線と大正13年敷設の国鉄土讃本線が峠付近で立体交差している。「皆山集」所収の「土佐国白湾往来」に朝倉村から枝川村に至る小坂と記された鳥越も,次第に咥内坂の呼称の中に吸収された。文政3年の高知城下町を中心とする商業方限のうち,城下公定価格の適用範囲の西限として鶉坂とともに記載される鳥越坂は,ここを指すと考えられる。高岡郡佐川町や伊野町方面から高知市へ入る唯一の幹線として交通量も多い。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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