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高幡
【こうばん】


高岡郡西部から幡多郡北東部一帯の汎称地名。行政的には,須崎市,高岡郡窪川町・中土佐町・檮原(ゆすはら)町・大野見村・東津野村・葉山村,幡多郡大正町・十和(とおわ)村の1市4町4村が含まれる。面積1,405.85km(^2)。人口8万1,075人(昭和60年)。四万十(しまんと)川上流域,新荘川流域および須崎湾から興津崎(窪川町)付近までの沿岸地域とからなる。古来,県央部から県南西部や愛媛県宇和島市方面へ通じる廊下地帯にあたり,現在,国道56号・197号・381号が通じている。国道56号・381号沿いの南部と197号沿線の北部とに区分され,須崎市はその両者の経済的・行政的結節地としての機能を果たしてきた。歴史的にみても,戦国期には,南部は一条氏,北部は津野氏の支配圏にあり,文化圏としても対応する。さらに,地形的には,四万十川上流域と新荘川流域および土佐湾沿岸部とは急傾斜で隔てられ,南部の久礼坂,北部の布施坂のように,古来,交通上の難所が所在した。したがって,南部は,久礼坂以西の窪川・大野見の高南台地と四万十川中流の嵌入蛇行部,以東の土佐湾沿岸部,北部は,布施坂以西の津野山(檮原町・東津野村)地方と新荘川流域とに再区分される。経済面では,須崎市を除いては,第1次産業が中心で,高南台地では平地も比較的多く,米・ショウガの栽培や酪農・養豚などの畜産業が盛んである。四万十川中流域の十和村・大正町,上流部の檮原町では,平地に恵まれず,林業やシイタケ栽培などに特色がみられ,東津野村や葉山村西半部にかけては茶業,新荘川下流域ではキュウリなどを主にした施設園芸などに特色がみられる。一方,中土佐町の久礼湾,須崎市の野見湾を中心とする海岸部は,県下でも有数のカツオ漁業・養殖業,かつての大敷網(ブリ)などの漁業地として古くから知られている。地域の中心須崎市は,中世以来,港町として発達,商業地としても高知市・中村市に次ぐ地位を占めている。伝統的な石灰・食品(特に水産加工)など以外にも,第2次大戦後,弱電・セメント関係の大企業の進出もあり,工業生産も盛ん。現在,この地域は高幡広域市町村圏として機能し,須崎市を中心に市町村道,広域消防救急業務,特別養護老人ホーム,地方青年の家,運動公園などが整備されつつある。檮原町から東津野村にかけて,四国カルスト県立自然公園をはじめ,中世の津野山文化を伝える史跡,幕末の志士関係の史跡も豊かで,高原の観光,保養地としても期待されている。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7205595