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中筋川
【なかすじがわ】


1級河川渡川水系の支川。県南西部の宿毛(すくも)市・中村市・幡多郡三原村を流れ,四万十(しまんと)川(渡川)下流右岸に合流する。流路延長36.4km。この流域の基盤岩石は,上流部は第三紀漸新世平田層,中筋地溝帯は白亜紀四万十川層群有岡層,下流部は第三紀始新世清水層で構成され,その上に沖積層が堆積する。水源は中筋地溝帯南縁に沿って東西に走る貝ケ森山地の西部に位置する白皇山(457.7m)の南東斜面の水を集めながら東流,宿毛市と三原村の境界をなしたのち,大きく北へ曲流し貝ケ森山地を横断,宿毛市平田で中筋平野に入り,東に向きを変え,北部から南流してきた山田川と横瀬川を中村市有岡付近であわせる。さらに平野内を曲流しながら東流し,中村市坂本から向きを南東に変え,実崎(さんざき)で四万十川右岸に合流する。流域面積144.5km(^2),このうち山地面積109.8km(^2),平地面積33.6km(^2)。四万十川の支流の中では,吉野川に次いで平地面積が大きい。流域内の降水量は平均2,500mm前後で,時期的には梅雨期の6・7月,台風期の8・9月の4か月が最も多く,なかでも台風期にその極大を示す。中筋川の中流および下流域は,東西にのびる平野で傾斜は非常に少なく,流路は西から東へ選択浸食するため曲流が多く,流れを阻害し,洪水の害も多く,江戸期以来,曲流部や支流の付替えなどの改修が行われてきた。洪水時四万十川からの逆流が強く,中流域まで氾濫する。この氾濫を防ぐため,昭和12年11月,合流位置を下流に付け替える工事に着工。四万十川に瀬割堤を設け,合流点を1,850m下流の山路まで下げ,さらに山路の甲ケ嶺を開削し,中筋川を山路川に合流させ,再び瀬割堤で2,650m下流の実崎地先で四万十川右岸に合流させるもので,昭和39年2月に完成。上流部・中流部でも曲流部の改修や支流の付替え,築堤などの工事,水門や内水汲出しポンプの設置など,中筋川流域約1,500haの中筋川改修工事も行われた。かつては,年々の洪水のため,土地利用が制限され,低地では明治中期から昭和初期にかけて杞柳栽培の利用などもみた。水害が減少した現在は,早期水稲・藺草をはじめハウス園芸なども行われるようになった。中筋川は洪水時以外は水量が少なく,河床勾配が少ないので流れが悪く,流域の生活排水の多様化などにより,河水の汚れが目立ち,下流の坂本橋付近ではしばしば赤潮の発生もみることがある。上流の宿毛市黒川に建設省による総貯水量1,200万m(^3)の多目的ダムの建設計画がある。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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