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野市上井川
【のいちうわゆがわ】


物部川下流東岸の野市台地一帯を灌漑する用水路。江戸期,野中兼山の施策による用水路で,物部川下流の香美郡土佐山田町町田にある町田堰(野市上井堰)の東岸から分水し,香美郡野市町域の野市台地一帯を灌漑する目的で造られた。寛永18年に着工し,正保元年完成した。用水は野市台地端に沿って南流し,野市町佐古地区を経て西野の西上野の分水地点,三又の堰に至る。深さ2~4尺,幅3間。堰井口から三又の堰までの幹線部分が野市上井川(溝)と呼称され,三又の堰から先は,原田溝・町溝・武市溝・十善寺溝・東野溝などの分流となる。その井筋は東および南に流れ,野市・富家・香宗の各地区の耕田460余町に通水する。父養寺井川筋・野市下井川筋とともに野市台地灌漑の三大動脈であり,野中兼山は,これら用水掘削と郷士の起用によって,野市台地に水田526町・畑宅地87町の新田開発を成し遂げた。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7207445