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竜河洞
【りゅうがどう】


香美郡土佐山田町の南東部,逆川にある鍾乳洞。県央部における観光拠点。竜河洞県立自然公園に属する。野市三宝山・聞楽山などと一続きの標高350m前後の丘陵性山地の一部である竜河洞三宝山の西斜面中腹に位置する。古くから存在が知られ,「土佐州郡志」の香我美郡佐古郷の項に「大穴」とあり,逆川村にあって竜窟と呼ばれ,2代土佐藩主山内忠義の時代に,地元民が洞穴内を調査し鍾乳石の発達などが報告された記載があるが,昭和初期までは下部洞口から400mほどの範囲しか知られていなかった。昭和6年,山内浩を中心に,現在の観光コースの大半が探査・紹介されて以後,調査が進み,弥生時代の遺跡の発見もあり,昭和9年,国天然記念物および史跡に指定された。本・支両洞の総延長は4kmを超えるが,うち2kmが開発されている。地質学上の仏像構造線の北側に接する位置を占めており,秩父帯南帯の石灰岩鉱床中,古生代二畳紀に形成された虚空蔵山層の石灰岩から構成されている。洞口は,山麓・山腹に各2か所あり,うち下部洞口が入口に,上部洞口が出口として利用されている。洞内は山口県の秋芳洞に比較して狭いが,探訪コースは長く,鍾乳石・石筍・石柱や豊かな伏流水による滝などの組合わせで,変化に富む景観が特色となっている。気温は,夏季でも20℃以下で涼しく,冬は12℃以上と暖かい。コウモリをはじめ100種以上の生物の生息が確認され,洞内でのみ生息する真洞穴動物も約20種みられる。出口付近の弥生時代の住居跡も知られ,土器・石器・獣骨・炉跡・鉄鏃・石錘などが出土したが,鍾乳石の発達によって固定された土器も残されている。洞外の山頂付近にも溶食による露出石灰岩や水田化された小凹地(ウバーレか)など小規模なカルスト地形もみられる。当洞を中心に,付近一帯は昭和33年に竜河洞県立自然公園にも指定されている。洞入口付近には,土産物店・旅館が立ち並び,博物館・資料館などの施設もあり,定期観光バス,国鉄土讃本線土佐山田駅からの国鉄バス,播磨屋橋(高知市)からの私鉄バスなどが運行され,土佐湾や高知平野を足下に一望する野市町の三宝山経由の竜河洞スカイラインも通じている。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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