鵜来島
【うぐしま】

福岡市中央区の博多湾内に浮かぶ島。西公園の北西，伊崎浦団地から約800m沖合に位置する。面積2,310m(^2)，長径約120mの無人島で，20本ほどの松が茂る標高11.6mの玄武岩の岩礁を南北に細長く砂浜が囲む。島名は，往時多数生息した鵜の営巣地であったことにちなむか。島の記録は，鎌倉期の古図を江戸期末に模写した絵馬の博多古図（住吉神社蔵）に，「昔シ此ノ島ノ北西ニ千畳岩トテ広キ所有シ，忠之公（福岡藩２代藩主）御時代，栗山大膳殿此ノ島ニ御家中呼寄セ密談有シト言フ」とある程度。明治維新後国有化されたが，明治41年競売に付され，個人の所有になった。昭和41年に福岡市が計画した西公園下埋立て計画では埋立地内に含まれたが，地元の文化団体などの反対で変更された。付近は，かつて好漁場で，現在も湾内８漁協共同の漁業権が設定されるが，博多港の埠頭拡大と埋立てで海水が汚濁し，往時の面影は薄れた。近年，埋立ての影響か潮流が変わり，砂浜が拡大，新たに増加した土地をめぐり市との間に所有権問題が発生。

KADOKAWA 「角川日本地名大辞典」 JLogosID : 7209429