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表粕屋
【おもてかすや】


粕屋郡南部と福岡市東区の一部を指す地域名。かつては宇瀰河内・須恵河内・迫戸(勢門)河内・山田河内と呼ばれた多々良川の流域一帯をいう。東区に属する箱崎・蒲田・名子・土井・八田・津屋・多田羅・松崎・名島の旧本村と原田・須崎の新田村,粕屋郡の宇美・志免(しめ)・須恵・粕屋・篠栗(ささぐり)・久山の6町域にあたる。表粕屋・裏粕屋の区分については,「続風土記」に「長政公入国の後,大郡なれはとて,表裏にわかちて,伊野・香椎の山の南を表糟屋とし,北を裏糟屋と称す」として,郡内121か村を表裏に分けて列挙する。明治22年,須恵の新原(しんばる)に採炭のための第1坑が開かれ,艦船の燃料用として海軍予備炭山に指定されてから,表粕屋地域は粕屋炭田として繁栄した。粕屋炭田は,北部の篠栗町から南部の宇美町まで東西8km・南北10kmに及び,国のエネルギー政策の転換により閉山になるまで,75年間採炭された。志免・須恵両町にまたがってそびえる旧国鉄志免鉱業所の5坑ぼた山が当時の名残をとどめる。福岡都市圏の中で,石炭輸送の主役を担った篠栗線・香椎線・勝田線の交差していた表粕屋地域は,工業団地やベッドタウンとして大きく変貌を遂げている。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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