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小屋島
【こやじま】


宗像(むなかた)郡大島村にある島。沖ノ島の南端,御前の船溜りから南東1kmの海上に,御門柱(みかどばしら)・天狗岩と呼ばれる2つの岩礁と並んで位置する。御門柱と天狗岩は海上に直立した観があり,一対で沖ノ島に鎮座する宗像神社沖津宮の神門に見立てられ,沖ノ島との間の海域は,「続風土記」に「岩瀬甚多し,初秋の南風吹きすさぶ頃は逆浪大いに漲り,怒濤岩岸を動す」と記される。小屋島については,沖ノ島定番勤務に就いた青柳種信は「防人日記」寛政6年4月の条に「此の島は沖つしまの東南廿丁ばかりに在り。高さ七丈ばかり,なべて巌のみにして土なし……深き岩の谷に,浪の打ち入るゝ音,雷のごとし」と記す。沖ノ島の周辺海域は,回遊魚と磯根に生息する魚類の宝庫で,沖合に,イルカの群泳を望むこともある。宗像大社沖津宮のある沖ノ島への上陸が許されないことから,小屋島が釣人の格好の磯釣場となり,カンムリウミスズメの繁殖地である島の,自然破壊が懸念される。カンムリウミスズメは,孵化後数日で親鳥とともに海に泳ぎ出し,以後動物性プランクトンを求めて移動を続ける。この特異な繁殖習性に加えて,日本列島近海の亜熱帯暖海域にだけ生息する日本特産種であるため,昭和50年,国天然記念物に指定された。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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