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白島
【しらしま】


北九州市若松区の脇田地区北方約8.3kmの響灘にある無人島。東の男島(周囲約3km)と西の女島(周囲約2.5km)の2島からなる。玄武岩の島で,最高点は男島の128.1m。「日本書紀」仲哀天皇8年正月1日の条に「柴島を割りて御とす」とあり,「続風土記」は「柴島は此白島の事ならんか,柴多く生する故に,柴島といひしを,後にいひ転して白島と云けるにや。白と柴と其訓相近けれは也」と由来を記し,また「雄島は岩石多く土少し,柴木茂く多し……雌島は其地高からず,野牛多し」と述べる。一帯は好漁場で,古くから漁場をめぐる紛争も多かった。長門領であったのが,脇田・脇ノ浦の領有になったのは16世紀中頃で,毛利元就が領国巡視の折,船のいかりが岩瀬にかかったのを,脇田浦の本田弥吉が海中に潜って取り外した恩賞として白島を与えられたことによる。現在はブリ・タイ・ウニ漁が盛んだが,昭和53年10月通産省が石油備蓄基地の候補地に選定,同54年8月地元4漁協は建設に同意。昭和56年4月48億円で漁業補償交渉が妥結し,通産省・石油公団が立地を決定。同年6月第3セクターの白島石油備蓄株式会社(資本金25億円)が発足した。当初の着工予定は漁業補償配分や政界工作をめぐる疑惑などで再三延期となり,昭和59年5月基地の本体建設工事に着手した。計画では隣接海域14haを埋め立て,コントロールセンターなどを建設,その地先に防波堤を築造し約60haの海面を確保,男島東側海域に70万kℓの原油貯蔵船を8隻係船して,500万kℓの原油を備蓄する。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7211904