100辞書・辞典一括検索

JLogos

15

祇園川
【ぎおんがわ】


小城(おぎ)川ともいう(疏導要書)。嘉瀬川水系の1支流。小城郡小城町の最北部にある天山(てんざん)(1,046.2m)の東南部付近に源を発し,石体(しやくたい)川・江里山川・清水(きよみず)川などを合わせて,同郡三日月(みかつき)町を経,佐賀市との境で1級河川嘉瀬川に注ぐ川。延長9.2km。「疏導要書」の祇園川の項に「幅四十間 深サ凡十二尺 小城川トモ云。水上天山の南谷々ヨリ出ル又岩蔵ノ谷ヨリモ出ル北郷南郷ノ村々ノ作水トナル道法三里半ホトシテ杵島溝ヨリ嘉瀬川ニ打出ス」とあり,同書の別項に「祇園川ハ岩蔵ノ谷ヨリ打出ス川ニテ水上ナルニ以前ト違ヒ水勢衰ヘ耕作ノ余剰ナキニヨリ山ニ木ヲ仕立ナハ漸々ニ水多出テ後年ニ及テハ耕作ノ助トモ成リ」とある。当川の水をめぐって,水喧嘩が絶えなかった川としても知られる。当川の水は農業用水として重要であったばかりでなく,製粉用の水車の動力としても利用され,明治後期から大正期まで製麺が盛んで,そのための製粉水車小屋は約40軒にのぼった。また,明治年間,祇園社前の大通りができたのを記念して,神官たちの手でホタルの名所となったが,大正13年にできた小城製紙の汚濁水によって全滅に瀕した。その後保護され,彦島橋を中心に再び名所となり(小城郡村誌),戦後,農薬の普及によりホタルの名所は消滅した。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7216662